国土交通省の調査でみるBIMのメリット・デメリット

2DCADで仕事は回っているがそれでも、BIMは入れたほうがいいのだろうか。BIMの導入を考え始めると、まずこの点で迷います。
BIMは、建物をパソコンの中に立体で組み立て、部材ごとに材料や寸法などの情報を持たせる方法です。
入れるかどうかを決める材料として役に立つのは、実際に使っている人の答えです。国土交通省(以下、国交省)の調査では、BIMを入れている部署と、まだ入れていない部署の意見がそろっています。今回は、その数字からBIMのメリットとデメリットが具体的に見えてきます。
目次
メリット:BIMを入れた部署が実感したこと
国交省は、建築関係の13団体の会員にアンケートを行い、令和7年1月に結果をまとめました。この中で、BIMを導入済みの254部署に、メリットを実感できた場面について回答されています。
3Dで見せて、説明や理解がしやすくなった:82.7%
お客様に良い印象を与えられた:63.8%
図面どうしの食い違いを防ぎやすくなった:42.9%
手戻りや調整が減り、仕事が円滑に進んだ:26.4%
設計変更の手間やコストが減った:14.2%
いちばん多かったのは、3Dで伝わるという答えでした。平面図を読み慣れていないお客様にも、模型を見せるように説明できます。
一方で、設計変更の手間やコストが減ったと答えた部署は14.2%にとどまりました。
なお、メリットを実感できる場面はないと答えた部署は5.5%でした。9割を超える部署が、どこかでメリットを感じています。

デメリット:BIMを入れた部署が困っていること
同じ254部署には、メリットが得られていないと感じる場面についても回答されています。多かった順に5つ並べました。
CADとBIMの二重作業で、手間が増えた:55.1%
協力会社がBIMを使っておらず、連携できない:45.7%
人を育てる費用や時間が負担:44.1%
覚える手間に対して、まだメリットが少ない:41.3%
ソフトなどの維持費が負担:38.6%
1位の二重作業は、CADとBIMを並行して使う時期に起きます。峰設計の見方では、社内の全員が一度に切り替えるのは難しいため、しばらくは両方を使う時期が続きます。
困っている場面はないと答えた部署は、3.1%しかありませんでした。お金の面では、国交省のガイドに初年度の目安が載っています。

まだ入れていない部署は、なぜ入れないのか
同じ調査では、1,738件の回答のうち50.1%が、所属する企業でBIMをまだ導入していないと答えました。従業員の人数で分けると、100人を境に大きな差があります。
従業員100人以下の会社:導入しているのは39.2%
従業員101人以上の会社:78.9%
10人以下の内訳:1〜2人で33.6%、3〜5人で40.4%、6〜10人で41.2%
100人以下の会社では、BIMを入れていない所のほうが多いのが現状です。
入れていない871部署には、その理由も聞いています。いちばん多い理由は、CADで問題なく仕事ができている(69.0%)でした。発注者から求められていない(68.3%)、覚えるまでの業務負担が大きい(55.8%)が続きます。
いまのCADで困っておらず、お客様からも求められていない。そう感じて迷っている事務所は、決して少なくありません。

デメリットを小さくする始め方
国交省は、中小の事業者向けにBIM導入のガイドを出しています(令和5年3月)。始め方について、次のような助言がまとめられています。
すぐに効果を求めない:何案件か使い、テンプレート(作図のルールや設定をまとめたひな形)がそろうと、良さを実感できる
一部からBIMを使う:はじめからすべての機能を使おうとせず、使い続けながら範囲を広げる
重い作業はCADでこなす:詳細なモデルや変更対応など、負荷のかかる作業はCADで受け持つ
メリットの1位が3Dで伝わることだった点と合わせて、峰設計は、3Dで見せる場面から使い始めるのが近道だと考えています。お客様への説明に使うだけなら、図面はこれまでどおりCADで描けます。図面をBIMに移さない分、二重作業の負担も小さく済むはずです。
効果を感じやすい場面から使い始めて、少しずつ範囲を広げていきましょう。

BIMのメリットは、まず3Dで伝わること
国交省の調査では、BIMを入れた部署の8割以上が、3Dで見せられることにメリットを感じていました。デメリットの上位は二重作業や覚えるまでの手間で、CADから移る時期に重なります。
入れるかどうかは、自社に3Dで見せると助かる場面があるかどうかで考えると判断しやすくなります。そういう場面があるなら、そこから試してみてください。
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出典
・国土交通省「令和6年度 建築分野におけるBIMの活用・普及状況 実態調査<概要>」
・国土交通省「中小事業者によるBIM導入・活用に向けたステップ&ガイド」
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