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BIMの社内教育が進まない5つの理由。つまずくポイントと、その乗り越え方

  • 2 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:2 日前


1人でBIMのモデルに向かい、手が止まっている設計者のイメージ

BIMのソフトを導入しました。操作も覚えた。それなのに、半年たっても業務で活用できていない——。そんな話を、設計事務所や工務店の方からよくうかがいます。

「うちの社員はやる気がないのだろうか」と考えてしまいがちですが、そうではありません。同じ場所でつまずいている会社が、驚くほど多いのです。

もし、つまずく場所があらかじめ分かっていたら——。

今回は国土交通省の実態調査と、中小事業者向けの導入ガイドを読み解き、社内教育が止まる理由を5つに整理しました。今回はその5つを見ていきます。


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目次


BIMの導入率は、会社の規模で約2倍ちがう

国土交通省が建築BIM推進会議の13団体を通じて行った実態調査(2025年1月実施・回答1,738件)では、BIMを「導入している」と答えたのは全体の49.7%。ちょうど半分です。ただしこの数字、会社の規模で大きく割れます。


企業規模別のBIM導入率。1〜100人の会社は39.2%、101人以上の会社は78.9%

従業員100人以下の会社では39.2%、101人以上では78.9%と、ちょうど2倍の開き。しかも回答した会社の7割以上(72.7%)が100人以下です。

この差は、意識の差ではありません。国のガイドも中小事業者を「BIM推進部門の設置が難しい事業規模の事業者」と定義しています。教える人を専任で置けない——これが、以下の5つの理由すべての土台です。



理由①:目的が決まっていない

「何に使うか」を決めないまま、操作研修から始めてしまう

ソフトを買い、操作講習を受け、とりあえず触ってみる。けれど「うちはBIMで何をしたいのか」が決まっていないため、講習が終わると使う場面がなく、そのまま止まる。

国土交通省が中小事業者向けにまとめたガイド(令和5年3月)にも、書かれています。

目的は、大きなものでなくて構いません。「お客様への3Dプレゼンに使う」「数量拾いを楽にする」「確認申請の図面をそろえる」——ひとつに絞るほど、教える内容も、覚える順番も決まります。



理由②:成果が出るまで時間がかかる

効果が出るまでに時間がかかり、その前に力尽きる

BIMは、導入した翌月から業務が早くなる道具ではありません。最初のうちは、これまでのCADと並行して使うため、むしろ作業が増えます。

実際、BIMを導入済みの部署に「効果が得られていないと感じる場面」を解答結果が、こちらです。

BIM導入済みの部署が効果が出ていないと感じる場面の上位6項目。二重作業55.1%、協力会社との連携45.7%、人材育成の負担44.1%、習熟時間に対してメリットが少ない41.3%など

もっとも多いのが「CADに加えてBIMも使うため二重作業になり手間が増えている」で55.1%。さらに「習熟にかかる時間や手間に対して、今のところ得られるメリットが少ない」が41.3%です。まだBIMを入れていない会社でも、導入しない理由として「習熟するまで業務負担が大きいため」が55.8%と上位に入っています。

国のガイドは、この期間について書いています。



理由③:教える人に時間がない

教育がOJT頼みで、先輩の手が空くまで止まる

社内でBIMの教育に取り組んでいる部署に、聞いた解答結果がこちらです。

BIMに関する教育の取組の内容。OJTが71.5%で最多。BIM導入済みの部署の39.0%はそもそも教育の取組がない

最多はOJT(実際の業務を通じた教育)で71.5%。自然な方法ですが、裏を返せば教える先輩の時間が、そのまま教育の速度になるということです。先輩が締切に追われている月は、後輩の学習も止まります。

そしてもうひとつ。BIMを導入済みの部署でも、39.0%は社内に教育の取組が「ない」と答えています。ソフトは入っているのに、教える仕組みがない。ここが、独学に頼らざるをえなくなる分かれ目です。



理由④:社内にルールがない

社内のルールがないまま教えるので、担当者ごとにやり方が分かれる

テンプレート(図面を書き出すための設定ファイル)やレイヤーの決まりがないまま各自が覚えていくと、担当者ごとに作り方が変わります。一人ひとりは正しく作業していても、あとから見ると社内でそろっておらず、整理し直す作業が発生します。国のガイドも、この点を課題に挙げています。ただし注意したいのは、「先にルールを完璧に作ってから教える」は行き過ぎると逆効果だという点です。同じガイドには「最初から環境整備の時間をかけ過ぎると、BIMの利用が面倒になるおそれがあります」とも書かれています。まずは付属のテンプレートで使い始め、使いながら自社のルールを足していく。この順番が現実的です。



理由⑤:つまずいたときに、聞ける相手が社内にいない

これがいちばん見落とされ所です。独学でもっとも時間を食うのは、操作を覚えることではなく「つまずいたときに調べる時間」です。5分で解決することを2時間かけて調べる。それが毎日続けば、学習そのものが止まります。

まだBIMを導入していない会社の理由を見ても、「何から始めればよいかわからないため」が36.5%、「BIMを活用する人材がいないため、又は人材育成・雇用に費用がかかるため」が46.0%と上位です。この点について、国のガイドは具体的な指摘をしています。


ガイド冊子の記載には、2ndステップ以降はBIMユーザー同士のネットワークを持||っているか否かでBIM導入・活用のスピードが格段に変わってくる。なので、早い段階からBIM導入者・先駆者からの情報収集や意見交換が重要、とのことです。」


——中小事業者によるBIM導入・活用に向けたステップより


社内での工夫の例も、同じ資料に載っています。ある設計事務所では、テンプレートのルールや入力方法をそろえる解説動画を自作し、YouTubeでいつでも見られるようにしています。「隣に分かる人がいなくても、先輩の説明のメモを取らなくても、必要な時に必要なだけ見ることができる」。教える側の時間を、動画という形で社内に置いておく発想です。



足りないのは根性ではなく、「順番」と「聞ける相手」

まとめると、どれも本人のやる気の話だけではないことが分かります。

	BIMの社内教育が止まる5つのつまずき。目的が決まっていない、成果が出るまで時間がかかる、教える人に時間がない、社内ルールがないまま教える、聞ける相手が社内にいない

整理すると、乗り越え方は3つに絞れます。

  • 目的をひとつに決めてから始める。「何に使うか」が決まれば、覚える範囲も、教える順番も決まります。

  • 小さい建物を1棟、通しでやりきる。操作の練習ではなく、企画から図面まで一度通すことで、はじめて「使える」状態になります。成功体験を1つ作るのが最短です。

  • つまずいたときに聞ける相手を用意する。社内に置けないなら、社外に持つ。国の資料が「ネットワークの有無でスピードが格段に変わる」と書いているのは、まさにここです。

この3つがそろえば、小さな会社でもBIMは定着します。会社の大きさではなく、進め方の問題だということです。



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峰設計では、4週間で1棟を自分の手で完成させる短期集中型の研修「BIMブートキャンプ」を開講しています。動画で学びながら週1回の講評質疑会でつまずきを持ち帰れる形式で、修了時には一般社団法人 日本BIM協会の修了証が発行されます。


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出典


1. 建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査<概要>(PDF・全32ページ)/令和7年1月 国土交通省調べ/第21回 建築BIM環境整備部会(令和7年3月18日開催)


2. 中小事業者によるBIM導入・活用に向けたステップ(これであなたもBIMユーザー!)/中小事業者 BIM導入・活用ステップ案&ガイド冊子(PDF・全14ページ)/令和5年3月/国土交通省住宅局建築指導課


3.同【参考資料】先進的なBIM活用を進める中小事業者の取組み(PDF・全52ページ)/令和5年3月



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